谷川さんだけでなく、第1回は皆が皆自由な発想でした。互いにバチバチさせながら作曲していたんですよね。
過去作品紹介の第2回は、西山怜志作曲の「青春の軌跡『吹奏楽部』」という作品。
楽章形式……ではなく、1~2曲目はクラリネット、ホルン、トランペットにピアノという編成、3曲目は木管五重奏の編成になります。
一つのストーリーを持った連作、といえばいいでしょうか。
3曲目が木管五重奏なのは、おそらく私が「西山さんの木管五重奏一度見てみたいよね」って言ったからだと思います。(笑)
この記事では、前半の2曲について書きます。
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この作品は、吹奏楽部に入部した学生が、楽器を練習し、一つの曲を演奏できるようになるまで、というストーリーに沿って書かれています。
楽器を組み立てるところからスタートして、音を出せて他の人と合奏できるようになり、一つの作品を演奏できるようになる様子は、見ていてほほえましいものがあります。
作曲者の西山さんは学生時代に吹奏楽部に所属していたのですが、そこでの経験は音楽的に(そして彼の人生経験としても)非常に思い出深い経験となったようでした。
この作品を見ていると、吹奏楽部が楽しかったのだろう、彼が良い仲間と出会い青春を謳歌したのだろう、というのが何となく伝わってくるような気がします。
■ 青春の軌跡「吹奏楽部」 Ⅰ.ファースト・プラクティス
作品は、楽器を組み立てるところから始まります。
マウスピースで音の出し方を確認し、基礎練のような音出しが続きます。ピアノは練習の場でよく使われるハーモニーディレクターのイメージでしょうか。
楽譜の指示には、「ようこそ吹奏楽部へ!」「顔を見合わせて楽しそうにする」なんかの指示もあります。ストーリーに忠実ですね。
■ 青春の軌跡「吹奏楽部」 Ⅱ.ファースト・セッション
少し吹けるようになってきた部員が、初めて合奏で他の楽器と合わせます。
音を間違えたり、どこを吹いているかわからなくなったりして隣の人にきいたりするのも、楽譜の指示です。芸が細かい。
アドリブ調の楽しさの表現と、シンプルな旋律線が、良い感じの「初めて」感を演出します。
そう、この第1回演奏会のテーマは「first」なのです。
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若くて純粋無垢な、希望に満ち溢れた、そんな作品です。
作曲会議の場では、他の人から「年齢とともに忘れてしまった何かがこの作品にはある」と言われていました。(笑)
彼の作品は、いつまでも少年の心を忘れないような香りがします。
作品の著作権は作曲者本人が持っていますが、気になる際はおとつくらぼにお問い合わせいただいても大丈夫です。
お取次ぎさせていただきます。
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